消費の快感に酔いしれる日々
私は、ショッピングモールのドラッグストアでアルバイトしていたことがあるのだが、週末のモール内は、人で溢れかえっていた。
おそらく、何か欲しいものがあって来ていたのではなく、なんとなく家族で、恋人で、ただ「お休みだし、なんとなく、ぶらぶらしてみよう。」とモールへ来ただけなのかもしれない。
大して気に入っているわけでもないものを「せっかく来たんだから」と買い、なんとなくたどり着いたスタバで、キャラメルマキアートでも飲んでいるのだろう。
休日にショッピングモールへ行く多くの人の目的は、「消費」だ。
仕事などのストレスを、「ちょっといい物買い」で満たしたり、ボーナス時期のファッション雑誌には、「ご褒美買い」の見出しが並ぶ。しかし、買ったはいいが、そこがクライマックスで、家に持ち帰ったら、同じようなものがクローゼットの中にゴロゴロ転がっている。
「消費の快感」は、中毒性の高いドラックと同じなのかもしれない。買わないでおこうと一度はそう思うのに、「限定品」「最後の一個」と煽られると、ついつい財布の紐が緩くなってしまう。要するに脳が誰かに操られているような「不健康な快楽」だ。
これに対する「健康的な快感」は、スポーツ、ウォーキング、読書、瞑想、家族との団欒で本来なら、ストレスは、この「健康的な快感」で解消されるべきなのだ。なのに、即効性が高く、お気軽な「消費」に頼る人が、今の日本のにはあまりにも多い。
2ちゃんねるの創始者ひろゆきさんが、「消費は飽きる。お金を使うことで幸せを感じる人は、一生幸せにはなれないし、奴隷的な人生から抜け出せない」という内容をYouTubeで話していたのだが、とても共感した。
「モノを買う」などの消費している限り、それを買うために自分の時間を削って働き続けなければならないのだ。嫌な上司がいても、人間関係が悪い職場でも、辞められない。消費した以上のお金が必要だからだ。
では、「物の消費でストレスを発散してしまう」状況から抜け出すためには、どうしたら良いのだろうか。
消費者から生産者へ
その答えは、「与えられる側でなく、与える側にまわる」ことだ。
消費者として「与えられる」側で一生を過ごすのではなく、生産活動をして、自分で編み出したものを「与える」側になることだ。
『消費活動』
- なんとなく給料日だからと買い物をする。
- 見栄のために、必要のない高級品や限定品を買う
- 気が乗らない飲み会に付き合いで参加する。
『生産活動』
- ブログ、写真、動画をSNSで公開する。
- 読書をした本の感想をブログに書く。
- 旅行に行った感想をブログに書く。
- 料理を作って家族にふるまう。写真を撮って、その工程をブログに書く。
- ハンドメイドで自分の欲しいアクセサリーを自作する。その工程をブログに書き、販売する。
お金を払い続けてモノの奴隷になるか、人生を自分でコントロールできるようにするか。
ハンドメイドでの気づき
ハンドメイド歴は、今年で20年近く続けている。最初は、自分が欲しい物が見つからないために始めたハンドメイドだったが、ふと、モノを自分で生産している時ほど、お金を使わない時間が続くことに気がついた。
モノを作り出す喜びに夢中になると、消費の欲望がスッと消えていくのだ。
勿論、作り出すにも材料や原資はかかるのだが、消費で使われるものよりずっと小さい。ネットで何を買おうかと、消費の欲望に取り憑かれて物色していた時間そのものが、ハンドメイドの時間になった。
最初は、上手くいかないが、少しづつ工夫したり、調べたりすることで、「売れるハンドメイド製品」を作れるまでに成長していった。
丁度その頃から、ハンドメイドをネットで販売できるプラットホームが沢山出てきた。クリーマ、ミンネ、イイチ、BESE、出品するだけなら手数料もかからないから、手当たり次第に出してみた。
当時はハンドメイドブームで多くの売り手がいて、ただ出品しただけでは、全く手が出ない日が最初は続く。その度に、落ち込んでしまうが、今どういった商品が受けて、自分が買い手なら、どんな物が欲しいと感じるか、消費する側からの視点で商品を見ていくと、自分の欠点がわかってくる。
- 身につけた時にイメージできるような、写真のクオリティを上げる。
- 値段の割に、高見えするような素材でできたもの。
- 購入者層(ターゲット)を絞った。
- 商品説明の見直し
すると、飛ぶように、、とは行かないまでもぽつりぽつりと売り上げが出てきた。「自分の作った物が、売れて行く。」というのは、こんなにも高揚感に包まれて楽しいとは思わなかった。
より売れるために、どうやれば良いのか。継続して売れ続けるためには、どうすれば良いのか試行錯誤と研究を繰り返すと、「あれ、そういえば私、今月は買い物してないな。」「今日は、Amazonも楽天市場もちっとも見てないや。」ということに、気づく。
なんとなく消費していた日々がハンドメイドで副業に挑戦している間に、いかに消費してもらうかを考える生産者に変化していたのだ。
自分で生み出して「与える」側になる
自分の幸せは、自分で作り出す。
ハンドメイドブームにより、ハンドメイド販売は、ラクに稼げるという切り口でメディアに取り上げられる事が多い。なんかキラキラした感じで紹介されるのをテレビで見て いつもモヤモヤしてしまう。
確かにキライな事で稼ぐより好きなことで稼いだほうが「ラク」だが、そこに至るまでの泥臭い努力、涼しい顔しながら、足をバタバタともがきながらそれなりの工夫やエネルギーを注ぐ必要がある。
好きな事で、稼ぐことは、「ラク」ではないが楽しい。
ハンドメードブームも一旦は、落ち着き、今でハンドメイドサイトに残っている販売者は、本当に実力がありブームに踊らされない人ばかりになってきているような気がする。サイトを覗いてると、出品者も頭打ちになっていっているという現実もある。
こんな時だからこそ、今は、ハンドメイド副業を始めるチャンスなんじゃないかと思っている。
ハンドメイドのためのノウハウも以前より沢山あり、続ける困難さや厳しさも十分認識されて、変な情報商材もかなり駆逐されてしまっているから、腰を落ち着け情熱を注いでコツコツ積み上げていけば、ハンドメイドで稼ぐことは、不可能ではないと思う。
HSPとハンドメイド
ハンドメイドは特別な資格は、いらない。年齢も、性別もライフスタイルも関係がない。
明日からハンドメイド作家ですと名乗ったら、あなたは「ハンドメイド作家」である。稼ごうが稼げなくても、関係はない。
ただ、無から何かを生み出すには、それなりの努力が必要だし、さまざまなモノからインスピレーションを受けて、自分自身の感性を形にしていく仕事は、すぐには結果が出ないし、思ったより稼げない時間が長く続く。
敷居が低いので参入障壁はないが、細かな作業や、丁寧さ、コツコツと積み上げることが好きなHSPには、本当に適職だと思う。基本的に自分1人で作業することになるので、誰かのご機嫌を伺ったり、顔色を気にしたりすることは皆無だ。
もちろん、お客さんとは、コミニケーションを取らざる得ないが、それもネット上だけで、実社会とは、全く違っている。ハンドメイドブームが去ったこともあり、本当にハンドメイド好きなお客さんや、世界で一つだけの自分のために作られた商品を求めているお客さんがほとんどで、接客対応に困ったことがなかった。
HSPならわかると思うが、細やかで丁寧な文章を心がけたり、気の利いた梱包や、正確な納品作業は、得意中の得意だし。その気遣いがお客さんに伝わって、ほぼ星5の評価ばかりだ。HSPの強みを活かして作業しているので嫌な思いをしたりということは一度もない。
HSPの弱みを強みに変えていける
- 人の言動を過剰に気にしてしまう。 ←自分だけしかいません。(人間関係皆無の世界万歳!)
- 感情の浮き沈みがあり、誰にも会いたくない。←休みましょう!ハンドメイドサイトは、お休み設定ができます。
- 丁寧なあまり時間がかかる。←自分が納得するまで作りましょう。その丁寧さがハンドメイドでは、評価されます。
- 音、光、湿度など環境の変化に敏感。←自分が1番リラックス出来る場所(家)での作業になります。
人間関係の悩みに煩われることなく、自分の強みを活かしながら黙々とマイペースにできる仕事だと思う。だから真正のHSPである私も20年も続けてこれたと思う。
合わなければ辞めてしまっても、かまわない。いざとなったらハンドメイドの道具も、メルカリで簡単に売れちゃうし。失うものは、あまりない。
実は稼ぐことよりも、モノを作り出す喜びが生み出す圧倒的なパワーを感じることが出来ると思う。
だから、HSPさんや内向的な人には、ぜひ挑戦してほしい副業のナンバーワンがハンドメイドだと感じている。