同窓会にて

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テーブルで鍋を囲む
40年ぶりに鍋を囲んで
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45年ぶりの再会

週末に同窓会に行ってきた。正確には夫の同窓会だが。

夫婦で共通の知人がいるので、「お前もこいよ」ということで夫と一緒に同窓会に参加した。

総勢10人ほどの小さな集まりで、日比谷のガード下の居酒屋にて集う。

皆九州の田舎に生まれ、進学や就職、転職とともに上京してきた。どちらにせよ田舎なのでろくな就職先がないため、故郷を後にしたのだ。

いやー面白かったですね。50歳も過ぎると、みんな平等におじさんとおばさんになってる😆

でも人間力が上がってみんな面白い。

会の初めは、みんな少しだけ緊張してたが、話が進むにつれ、くだけた雰囲気になり話が弾んだ。

口裂け女覚えてる?

私の前で、最初はぎこちなく挨拶を交わしてた上田くんと増田くんの二人。

「おまえの事、今思い出したぞ。うん、おまえは昔からめんどくさいやつだった(笑)」と増田くんが言い放った。

小学生以来40年ぶりの顔合わせで、記憶が蘇ってきた二人が、話が盛り上がって話してるのを聞いてると、こちらまで面白くて、笑ってしまった。

「口裂け女の話覚えてる?」

「目があったら、全速力で走ってやってくるやつ?学校でそればっか話してたやつがいたね。」

口裂け女の伝説、昭和の小学生は、みんな話してた。懐かしい。

色々話の糸口を掴んで、もっと親しく話したい上田くんと、個人情報を掴まれたくない増田くんの攻防。

「増田くん、今結婚してんの?」という上田くんの質問に、「う、うん一応ね。」と曖昧に答える増田くん。

「同じ故郷の人?子供いんの?どこ住んでんだよ?」上田くんの畳みかける質問に、

「なんで、なんでもおまえに教えなきゃいけないんだよwww」と突っぱねる増田くん。

増田くんの初恋の人の話になり、上田くんが、当てようと必死になった。

「隣のクラスの吉田さん?」

「違うわw」

「5年になって福岡に転勤した鈴木さん?、ほら髪が長くて、お父さんとお母さんが離婚して引っ越していったじゃん」小学生から個人情報を収集してたらしい上田くん。

「おまえだけには絶対教えんわw」

iPadの卒アル

おまえだけには知られたくないと突っぱねる増田くんだったが、上田くんが今年帰省した時に実家の物置から引き出してきた卒業アルバムをiPadで撮影したという話をすると、増田くんの目の色が変わった。

「見せてくれよ!上田くん、ね!お願いします!」と懇願する増田くん。

どうやら卒アルに、懐かしい初恋の人がいるらしい。

上田くんが、机の下から鞄を取り出しiPadを開いた。

卒アルの全ページをiPadに収めた上田くんの近代的な情報収集力をみんなで、褒め称えた。

起動したiPadをみんなで覗き込んだ。

写真には、中学生のあどけない顔が並んでいる。みんな食い入るように見つめる。

「あ、この人覚えてる」「この人とこの前郷里で会ったよ。」「この先生、最低な奴やったなw」皆がそれぞれの人物を指差しながら話が盛り上がる。

増田くんも、さっきまで上田くんの個人情報収集に辟易として文句を言っていたが、卒アルの何人かを指差しながら「この人今どこいんの?」と個人情報を聞いている。

「森田さんは、今年退職して、奥さんの実家に行ったよ」

「飯田さんは、結婚して岡山に住んでる。今年娘さんが東京の大学に進学するから、先月来てたみたい。」

などなど、どんだけ情報握ってるんだというぐらい。私たちに情報を提供してくれた。

上田くんの情報収集力がすごい。

いやそれだけじゃなくて上田くんの人を繋げる力がfacebookを使って、より広く繋がっていったのかもしれない。

上田くんの情報力とFacebookがなかったら、みんなこうして、東京のガード下の居酒屋で飲んでいることもなかっただろう。

またいつか会おう

一時間半90分の宴会コースを頼んだのに結局3時間近くも宴は続いた。

終わりに、またいつか皆んなで飲もうやということで会計を済まし店の外に出た。

「またね!」と挨拶を交わし、賑やかな街の通りを眺めながら家路についた。

ん?増田くんの初恋の人はどうなったか?

結局、教えてはくれなかった。でも、またどこかで会うことになるだろう。

なぜなら、上田くんの名刺を大事そうにポケットに入れてる増田くんを私は見たから。

きっと増田くんは、また同窓会に現れるはず。

その時、リサーチ力を一段とつけた上田くんと、初恋の人を探ってみようと思ってる。

2024年、冬のような春の夜、日比谷にて

*人物名は、全て仮名ですがノンフィクションです(笑)

夜のビル
都会の夜は、綺麗だな
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